最終更新日:2006/2/17

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鈴木流溶接講座


最近では車バイクを問わず、自分で加工または製作しようと、溶接機を買われる方が増えている見たいですね!現実に100V半自動溶接機がけっこう売れているみたいです。
でも、買ったけれどうまく使いこなせない方もいるのでは?と思い溶接方法など伝授したいと思います。
使う溶接機は「キャンベル岩田100V半自動溶接機」です。
私はこいつを破損覚悟で200V電源(実際は160〜180V)で使用していますが今の所問題無い見たいです。でも、こんな使い方はお勧めできませんので、ここでは100V電源のフルパワーで書いていきたいと思います。
 
付けるだけの溶接は簡単です。でも、強度の有る溶接となると話は別です。「溶接機の調整」「溶接技術」「母材の加工方法」この3要素が大事では無いかと思います。
こんな感じで進めて行きたいと思います。
 
注意  ここに書かれている事をまねて、故障、事故、破損、火災など起きても一切の責任は負いません。全て自己責任でお願いします。
 

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左が100V30A
左が100V30A
電源設備
 
まず電源ですが、延長コードは絶対に不可です。
その理由は電圧がかなり下がります。
3m繋いだだけでもその差は歴然!どうしても延長するのであれば銅線2芯2ミリ以上のケーブルで延長しましょう。
最適なのは分電盤から直接引き込むのが一番いいです。
 
次に、ブレーカー容量ですが、20AでOKと説明書には書いて有るけど、トランスを使うので30Aのブレーカーを使います。
 
次は、肝心要のトランスです。ここでは「スズッキド」と言うメーカーの物で、100V〜115V〜125Vに変圧できる物を使います。お値段は1万円位です。
こいつにも20Aのブレーカーが付いておりますが、30Aに交換します。
 
この仕様で125Vを使いますと、一つ上の溶接が可能となります。0.8のフラックスワイヤーで6mm厚保の板なら問題なく溶接できます。普通にやると、6mmの板は付きますが、溶け込みが浅くお世辞にも大丈夫とは言えません。
溶接機の各部の調整
 
まず、この溶接機の欠点である送給モーターのパワー不足を補うセッティングをします。
ワイヤーリールをスプリングで円盤状のカラーで止める用になっていますが、このカラーを少し削ってリールが軽く回るようにします。同じメーカーの溶接リールでも幅が5mm位の差が有りますので、カラーを裏と表を違う寸法で削りリールによって裏表を使い分けます。
送給ローラー部分の調整
 
この部分もバネで調整出来るようになっていますが、強く押さえ過ぎるとローラーの滑り止めのギザギザが溶接ワイヤーに傷を付けてアークが不安定になりますので注意してください。最適な押さえ具合は、滑るか滑らないぐらいです。
この加減が難しい、トーチの手元を曲げると少し滑るぐらいかな?
 
電圧、ワイヤースピードの調整
 
電圧は4段階調節できますが、母材の厚みによって決めます。
薄い母材に高い電圧は、解け過ぎて穴が開きます。
厚い母材に低い電圧は、溶け込まずに溶接ビードが盛り上がります。
綺麗に溶け込む電圧に合わせます。
 
ワイヤースピードは何処でアークが出ているかで判断します。
この溶接機はスピード調節が結構シビアですので、調節ダイヤルを少しずつ回しましょう。(1mm単位くらい)
  • ワイヤーが突付く              早すぎ
  • アークが母材にのめり込む        少し早い
  • 母材の1〜2mm手前でアークが出る  最適
  • ノズルの際でアークが出る         少し遅い
要領としましては、ノズルを母材から一定距離に保つことです。約10mm前後がベストです。
また、平付けと、角付けは母材とノズルの距離が少し違います。その為、その都度調節してやる必要が有ります。(角付けは平付けに比べ、少し早い)
 
 
 
左がCO2、右がアルゴン
左がCO2、右がアルゴン
ワイヤーの種類、選択
 
ワイヤーは母材の材質に合わせる必要があります。鉄、ステンレス、アルミなどがあります。
  • 鉄   フラックスワイヤー(ノンガス)とソリッドワイヤー(ガス)が有ります。軟鋼用と高力用がありますが、軟鋼用しか販売してないみたいです。
  • ステンレス   ステンレス同士、ステンと鉄などがあります。販売しているのはステン同士のガス、ノンガスワイヤーです。
  • アルミ   アルミ同士の溶接に使います。アルミと鉄、ステンは溶接出来ません。ガスでしか溶接出来ません。
 
ワイヤー径は、0.6,0.8,0.9等がありますが、なるべく細い径を推薦します。100Vと言う非力な溶接機ですので、太い径を使うとワイヤーを溶かすのが精一杯で、母材まで溶けません。薄物(1〜2mm)なら太いのでも問題ないのですが、オールマイティーに使えるのはやはり細い径です。
 
フラックスワイヤーは湿気を嫌いますので、保管には気をつけましょう。一度、湿気ると溶接欠陥が入ります。また、錆が出ても同じです。
ホームセンターでフラックスワイヤーを購入する時は、袋が破れていない物を選びましょう。
 
 
ガスの種類
  • 炭酸ガス  鉄、ステン溶接に使います。
  • 混合ガス  炭酸とアルゴンの混合ガスで、鉄、ステンに使います。炭酸ガスより綺麗に付き、スッパッタ(火花)の発生も少なめです。
  • アルゴンガス  鉄、ステン、アルミ溶接に使い、とても綺麗に付きます。スパッタも殆んど出ません。
 
ガスを選択に関しての注意点は、CO2、混合、アルゴンの順番に高電圧が必要です。
同じ電圧で溶接して、CO2とアルゴンを比較したら、CO2は溶け込みが深くアルゴンは浅くなります。
この溶接機に関しては、アルゴンガスは薄板専用と思ってください。
 
レギュレターは、アルゴン用と、CO2用がありますが、違いは、アルゴンは気体で、CO2は液体です。液体のCO2を長時間使用するとレギュレターが凍結してしまいます。その為、凍結しないようにヒーターとか、羽状のフィンが付いています。20〜30分程度の溶接ならどちらでも使えます。
 
左に進めば前進法、右に進めば後退法
左に進めば前進法、右に進めば後退法
左が前進法、右が後退法です。
左が前進法、右が後退法です。
溶接方法
 
溶接姿勢には、下向き、横向き、登り、上向き、等が有りますが、ここでは下向き姿勢での溶接方法で話を進めます。
 
まず右利きの場合、右手でトーチを握り左側に進むのを前進法と言います。右側に進むのを後退法といいます。
正確には、進行方向に対して、トーチと母材の角度が広い方に進むのが前進法、逆が後退法です。
それぞれ特徴が違いますので説明します。
  • 前進法   溶け込みが浅い、ビード幅が広い、ビードが後退法より綺麗、等です。主に、強度の必要が無い箇所、綺麗に見せたい箇所に使います。
  • 後退法   溶け込みが深い、ビード幅が狭い、等です。主に、強度が必要な箇所に使います。
何故、この様な違いが出るかと言いますと、前進法の場合、溶接ビードの上でアークが出るので溶け込みが浅く、ビードが広がります。
後退法は、母材に直接アークが出ますから溶け込みが深くなります。
 
上の画像は、同じ条件(200V使用)で溶接して、母材をカットして少し曲げたものです。1mm程度溶け込みの深さが違います。ビードの盛り上がり方も、前進法は低く広く、後退法は、狭く高く付きます。
 
この、2つの溶接方法を使い分けて考えながら溶接していきます。
 
 
ウエービング溶接
  • 円を描く、左右に揺する   溶接ビードを広くしたい時に使い、多層盛の2層目とか、厚い板に使います。
  • 前後に揺する  薄板でウロコビード風に付けたいときに使います。
 
ウエービング法は熟練者向きです。練習しましょう。
 
どの材料でも、溶接する箇所を綺麗にするのが当たり前です。錆などが有れば欠陥が入ります。
面取り加工を施したアーム
面取り加工を施したアーム
溶接部分の加工
 
これは、溶接部分の強度を上げる為の加工です。
画像の上から下に行くほど強度が強くなります。
  • 加工なし     強度が必要無い箇所、薄板等
  • 開先突合せ   中板、厚板等
  • 開先すかし    裏波溶接用、裏表に溶接ビードを出したい時の加工(上級者向け)
  • 開先裏当て   裏当て金と一緒に溶接して強度を上げる
 
ノーマルアームの延長加工は、丸棒が裏当て金になります。
 
上の絵はV開先と言い35度位で開先を取ります。他には、「K開先」、「レ開先」などがあります。
 
開先すかしと、開先裏当ての母材の隙間は、2〜5mm程度です。
隙間は、溶接者の個々のデーターで決めます。
この2つの形状は、完全溶け込みと言い、その他は、部分溶け込みと言います。
 
左がアンダーカット、右がオーバーラップ
左がアンダーカット、右がオーバーラップ
溶接欠陥
 
溶接欠陥には外観上に見えるものと、内部に有るものがあります。
 
外観に見える欠陥
  • アンダーカット  ビードの端が溶けすぎて凹んだ状態
  • オーバーラップ  ビードが盛り上がり過ぎている状態
内外共通欠陥
  • ブローホール  無数の小さい穴が開いた状態
  • ピンホール    大きめの穴が開いた状態
 
まず、アンダーカットとオーバーラップですが、溶接の電流と電圧が合っていないとこうなります。
付いてるから良いんじゃないの?と思うかも知れませんが、アンダーカットの凹みが大きくなると母材の強度が落ちてしまい、ここから金属疲労等で割れが生じます。
オーバーラップは、電圧が低すぎて溶け込んでいない状態ですので、大変危険です。
上の画像の溶け込み状態を比べて見ればよく分かると思います。
 
次に、ブローホールは穴が開いているので当然強度は出ません。どんな時に出るかと言いますと、シールドガス不足、溶接箇所の不純物(錆び等)、電圧の高すぎ、等が原因です。ピンホールにも同じことが言えます。
 
対処としては、アンダーカットは肉盛すればOKですが、その他はサンダー等で削り落として再溶接するのが無難です。


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